米議会占拠事件を巡ってはトランプ氏の支持者ら多数が起訴された=ロイター

【ワシントン=芦塚智子】米連邦最高裁は16日、2021年の連邦議会占拠事件を巡り、起訴された参加者の1人が罪の一部を不当として破棄を求めた訴訟の口頭弁論を開いた。保守派判事とリベラル派判事の見解が分かれた。7月初めまでに下す判断は、起訴状に同様の罪が含まれているトランプ前大統領の裁判にも影響する可能性がある。

原告は元警察官で、議事堂内で秩序を乱す行為をした罪や、警察官に暴力を振るった罪など複数の罪で起訴された。

破棄を求めたのは、公式な手続きを妨害した罪での起訴だ。起訴した司法省が根拠としたのは企業改革関連法の条項で、記録や書類などを改ざんしたり、公式の手続きを妨害したりすることを犯罪と定めている。

原告側は、同条項が対象としているのは証拠改ざん行為で、適用は不当な拡大解釈だと主張している。

口頭弁論では、保守派判事から同条項の適用に懐疑的な発言が相次いだ。司法省の解釈を認めれば、パレスチナ支持のデモなど他の抗議活動にも適用が可能になりかねないとの指摘も出た。リベラル派判事は適用を支持する姿勢を示唆した。

判事9人で構成する最高裁は保守派6人、リベラル派3人と保守に大きく傾いている。

司法省は議会占拠事件で原告のほか300人以上を同条項違反で起訴している。最高裁が原告の主張を認めれば、他の事件参加者の罪も一部破棄される可能性がある。

トランプ氏が議会占拠事件に関与したとして起訴された事件でも、同条項違反が罪状に含まれている。検察側はトランプ氏が証拠改ざんにあたる行為をしていたとして、最高裁の判断に関係なく条項の適用が可能だと主張している。

最高裁は25日にはトランプ氏が主張している大統領としての免責特権を認めるかどうかを巡る口頭弁論を予定している。

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