スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は17日、世界各国が保有する核弾頭数の推計値を年次報告書で発表した。核弾頭の総数は減少しているが、中国が前年より90発増やしたほか、ミサイルなどに配備されている核弾頭は増加しているとし、「核兵器の役割は増大している」と警告した。

 報告書によると、2024年1月時点の世界の核弾頭数は推定1万2121発で、昨年より391発減少した。ロシアが5580発、米国が5044発で、両国で全体の約9割を占めている。

 このうち、ミサイルなどに配備されているのは3904発で、昨年より60発増加。増加分のうち36発はロシアの実戦配備によるものだという。

 次いで保有数が多い中国は、昨年の410発から500発に増えた。SIPRIは中国が平時にも少数の弾頭をミサイルに搭載する可能性があるとして、今回初めて中国の推定配備数を24発とした。中国が数年のうちにロシアや米国と同数の大陸間弾道ミサイル(ICBM)を保有する可能性があるともし、「中国は他のどの国よりも速いペースで核兵器を増強している」と指摘した。

 北朝鮮は昨年より20発多い50発と推計。安全保障政策の中心として核兵器開発を継続しているとの見方を示した。

 SIPRIのダン・スミス所長は報告書で、今後数年間は運用可能な核弾頭数が増加するとの見方を示し、「我々は現在、人類史上最も危険な時にいる」と警鐘を鳴らした。(星井麻紀)

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