【バンコク=藤川大樹】タイの検察当局は18日、与党・タイ貢献党の後ろ盾であるタクシン元首相(74)を、王室への侮辱や中傷を罰する「不敬罪」などで正式に起訴した。一方、憲法裁判所は、最大野党・前進党の解党処分やセター首相の罷免を求める訴訟の審理を続けており、政情不安につながる恐れがある。

◆パスポートを提出、即日保釈

2023年8月、タイに帰国したタクシン元首相。右は次女のペートンタン氏

 タクシン氏の弁護士などによると、同氏は起訴内容を否認。パスポートを裁判所に提出し、許可なしで出国しないことなどを条件に、50万バーツ(約210万円)を支払って保釈された。次回審理は8月19日の予定。  タクシン氏は2015年、韓国メディアとのインタビューで、王室を侮辱する発言をしたとされる。  06年のクーデターで失脚し、国外逃亡を続けていたタクシン氏は昨年8月、セター氏の首相選出に合わせて帰国。汚職罪などで実刑判決を受けたが、国王の恩赦で刑期が短縮され、今年2月に仮釈放された。  一方、憲法裁判所は同日、昨年5月の下院選で不敬罪改正を公約に掲げた最大野党・前進党の解党処分を求める訴訟の次回審理期日を7月3日に設定。また、内閣改造で犯罪歴のあるピチット氏を首相府相に任命したセター氏の罷免を求める訴訟の次回審理期日を、同月9日に決めた。 

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