SOPA賞の解説報道部門で最優秀賞を受賞し、握手するNikkei Asiaの中山編集長(左)ら(20日、香港)=小林健撮影

【香港=伊原健作】香港を拠点とするアジア出版者協会(SOPA)は20日、2024年の協会賞を発表した。日本経済新聞社の英文媒体「Nikkei Asia」の水資源を巡る記事が解説報道部門の最優秀賞を受賞した。欧米の主要メディアが競うグローバル枠での最優秀賞受賞は2年連続。

受賞したのは、23年7月に公開し、アジアの水資源を巡る地政学動向に迫った連載企画「アジアのハイドロポリティクス」。米州編集総局の姚柏穎、ニューデリー支局のキラン・シャルマ、ホーチミン駐在のリエン・ホアンらが執筆した。中国がアジアの国際河川に相次ぎダムを建設し、下流域国が水不足の脅威に直面している状況を現地取材し、豊富な写真やデータを盛り込みビジュアルに伝えた。

(記事原文)Asia's Age of Hydropolitics
https://asia.nikkei.com/Spotlight/Asia-s-Age-of-Hydropolitics

SOPAは受賞理由で「極めて重要なのに注目されてこなかったテーマについて『素晴らしい全体像』を描き出した」と評価した。

Nikkei Asiaの中山真編集長は今回の受賞について「グローバルメディアとして質の高いジャーナリズムを発信し続けていることを裏付けるものだ」と述べた。「アジアが直面する問題をアジアの視点から取材できるメディアとして成長を続けたい」とした。

SOPA賞の解説報道部門で最優秀賞を受賞したNikkei Asiaの水資源をめぐる連載企画

アジアのハイドロポリティクスは3月、ビジネスジャーナリストの団体である米SABEW(ソサエティー・フォー・アドバンシング・ビジネス・エディティング・アンド・ライティング)の「エネルギー・サステナビリティ・気候変動」部門でも最優秀賞を受賞している。

革新的報道部門では日経グループの英フィナンシャル・タイムズ(FT)が最優秀賞を受賞した。中国にあるイスラム教寺院・モスクが当局によって中国風に改修されていく様を、衛星写真やドローン撮影を駆使して描いた。

SOPAはジャーナリストでつくる非営利団体で、賞はアジア太平洋地域に関する優れた報道を表彰するため1999年に創設された。今回の対象は23年に公開された記事。メディアの展開地域などに応じて英語のグローバルとリージョナル、中国語などの枠がある。Nikkei Asiaは21年からグローバル枠で参加、23年に女性テーマ部門で日本メディアとして初めて最優秀賞を獲得した。

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