イスラエル軍とヒズボラ 攻撃応酬続く 米“戦闘の拡大防止を”

イスラエル軍と隣国レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラとの間では攻撃の応酬が続いていて、ヒズボラの最高指導者ナスララ師がイスラエル北部への侵攻も辞さない考えを示したと伝えられるなど、事態のさらなる悪化が懸念されています。

こうした中、アメリカのブリンケン国務長官は20日、首都ワシントンでイスラエルのデルメル戦略問題相やハネグビ国家安全保障顧問と会談し、レバノンでの戦闘の拡大を防ぐよう求め、外交的な解決を目指すことが重要だと強調しました。

また、アメリカ国務省によりますと、ブリンケン長官はイスラエルの防衛へのアメリカの関与は揺るがないと改めて伝えたということです。

アメリカとしては、イスラエル北部で戦闘が拡大し中東情勢がさらに緊迫することを警戒していて、事態が悪化しないようイスラエルとレバノンの両政府に対し、引き続き働きかけるものとみられます。

さらに会談では、イスラエルとイスラム組織ハマスとの間で続く停戦や人質の解放に向けた交渉について協議したほか、ガザ地区への人道支援をめぐってはイスラエル側にさらなる措置をとるよう求めたということです。

ヒズボラ最高指導者 “イスラエル北部への侵攻も辞さず”

イスラエル軍はパレスチナのガザ地区でイスラム組織ハマスへの攻撃を続けていて、20日には北部への空爆で精鋭部隊の幹部を殺害したなどと発表した一方、ガザ地区の保健当局は20日、過去24時間にイスラエル軍の攻撃で35人が死亡したと明らかにしています。

一方、ハマスに連帯する隣国レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラとイスラエル軍の間では攻撃の応酬が続いていて、イスラエル軍は20日、ヒズボラの指揮官を空爆で殺害しました。

これに対してヒズボラは20日もイスラエルに向けてロケット弾を発射するなど攻撃を繰り返しています。

また、ヒズボラの最高指導者ナスララ師は19日の演説で「もし戦争を強いられれば、われわれは制限なく戦うだろう」と述べてイスラエル側を強くけん制しました。

イスラエルメディアはナスララ師がイスラエル北部への侵攻も辞さない考えを示したと伝えていて、事態がさらに悪化しないか懸念されています。

イスラエル首相のアメリカへの不満 米高官「深く失望」

イスラム組織ハマスとの戦闘を続けるイスラエルのネタニヤフ首相は、18日の声明でブリンケン国務長官との会談について触れ「過去数か月間、アメリカがイスラエルへの兵器や弾薬の供与を控えていることは考えられないと伝えた。われわれは道具を与えられればより早く仕事を終えられる」と述べて、不満を示しました。

これについてアメリカ・ホワイトハウスのカービー大統領補佐官は20日、記者団に対し「ハマスやそのほかの脅威からイスラエルを守るため、アメリカ以上に多くの支援を行っている国はない」と述べました。

そのうえで「われわれは発言に深く失望し、当惑している。イスラエルの自衛のために必要な支援を何らかの形でやめたという考えは正確ではない」と反論しました。

バイデン政権は、先月、イスラエルによるガザ地区南部ラファへの大規模な地上作戦を実施することに反対し、威力の強い弾薬の輸送を一部停止したと明らかにしましたが、そのほかの兵器などの供与は行っているとしています。

カービー補佐官はイスラエル側に今回の発言に対する失望を明確に伝えたとしていて、ネタニヤフ首相とバイデン政権との溝が表面化しています。

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