【ソウル=木下大資】韓国統一省は24日、北朝鮮が韓国内へ飛ばした風船にぶら下げられていた、ごみの分析結果を発表した。北朝鮮で最も厳重な取り扱いが求められるはずの最高指導者の名が記された文書とみられる紙片が見つかり、「風船の散布に動員された住民が反発を込めた」との解釈も出ている。

◆「死刑」の可能性もある重罪?

 統一省は5月下旬以降に北朝鮮から飛来し、回収したごみ風船70個を分析。その中に、「偉大な領導者金正日(キムジョンイル)大元帥の教示」と書かれた文書の一部や、「朝鮮労働党総書記として高く…」との文言が見える紙の切れ端があった。党総書記は現指導者の金正恩(キムジョンウン)氏か、父の正日氏とみられる。

「偉大な領導者金正日大元帥の教示」と書かれた紙片。北朝鮮が風船で飛ばしたごみの中にあった=韓国統一省提供

 北朝鮮で首領(最高指導者)の教示文書を毀損(きそん)する行為は、死刑の可能性もある重罪とされる。

◆キティやプーさんの海賊品も

 韓国政府は、ごみ風船を飛ばす行為は北朝鮮当局が主導し、一般住民も動員して行ったとみている。聯合ニュースは「急な動員の結果、汚物散布に対する住民の反感や不満が反映されたとみられる」との統一省当局者の見方を伝えた。  統一省によると、ごみは一定の大きさの紙、ビニール、布きれなど、韓国へ飛ばすために急造したとみられるものが多かった。住民の生活状況が分かる一般ごみは避けた可能性があるが、中には使い古された衣類もあり、「ハローキティ」や「くまのプーさん」など国外のキャラクターをコピーした模造品もあった。人糞(じんぷん)由来とみられる肥料からは寄生虫が検出された。 

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