台湾の行政部門で対中政策を担う大陸委員会は27日、中国本土や香港、マカオへの渡航警戒レベルを上から2番目に一段階引き上げ、不必要な渡航を控えるよう呼びかけた。中国が21日、台湾の独立を目指す動きに対して刑罰を科す方針を示したことなどを受けたもの。強制力はないという。
委員会は発表文で、2015年以降、中国で反スパイ法、香港で国家安全維持法(国安法)など国家安全に関わる法令が相次いで施行されたと指摘。中国が21日に公表した指針で「さらにリスクが高まった」とし、「不必要な渡航を避けるよう強く勧める」と訴えた。
20日の会見では、この1年で台湾の退役軍人ら少なくとも8人が中国で拘束されていると明かしている。27日の発表でも、台湾から中国に渡航した人が「不法に拘束、留置、取り調べを受けるケースが相次いでいる」と注意を呼びかけた。
これまでの警戒レベルは上から3番目で、渡航の必要性の検討を呼びかけるものだった。同委は、新型コロナウイルスが流行した2020年1月、中国の湖北省などを対象に最も高いレベルに引き上げたこともある。(台北=高田正幸)
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