【アトランタ=芦塚智子】米連邦最高裁は27日、医療用麻薬「オピオイド」入り鎮痛剤の中毒問題を巡って集団訴訟を抱える米製薬会社パーデュー・ファーマの再建計画を認めない判断を下した。同社が被害者に巨額の和解金を支払うのと引き換えに、創業者一族の民事責任を免除する内容について違法とした。
判決は、連邦破産法は破産裁判所に第三者である創業者一族の民事責任を免除する権限を与えていないとした。保守派判事は4人が判決を支持し、2人が反対した。リベラル派は1人が支持、2人が反対した。
保守派のカバノー判事は反対意見で「今日の判決は法的に誤りであり、10万人を超えるオピオイド被害者と家族にとって悲惨なものだ」と厳しく批判した。判決により、和解交渉は振り出しに戻るとみられる。
パーデューはオピオイド鎮痛剤の発売当初、中毒の危険性を偽って積極的な販促拡大を進めたとして自治体などから多数の訴訟を起こされ、2019年に経営破綻した。
破産・再建計画は、創業家サックラー一族が自治体などによるオピオイド中毒対策や被害者の救済に約60億ドル(約9600億円)を拠出する代わりに、一族を民事訴訟から保護する内容だった。連邦破産裁判所が21年に計画を承認した。司法省が無効化を求めて最高裁に上訴した。
司法省側は、再建計画を認めれば「裕福な企業や個人が大規模不法行為(多くの人に影響を与える不法行為)の責任追及を避けるために破産システムを乱用する道筋を開く」と主張した。被害者側の大半は再建計画を支持していた。
米疾病対策センター(CDC)によると、1999年から2021年までに約64万5000人がオピオイドの過剰摂取で死亡している。
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