ウクライナの首都キーウにある司法省の犯罪科学研究所は、戦場などで回収されたロシア軍のミサイルや無人機の残がいを調べ、ロシア側がどのように性能の向上を図っているのかなどを分析しています。

研究所は、ことし1月に東部のハルキウに着弾したミサイルの残骸について、部品や大きさ、材料などを詳しく分析した結果、このミサイルが「KN-23」と呼ばれる北朝鮮の短距離弾道ミサイルだと結論づけました。

残骸にはハングルとみられる文字が刻まれた部品が見つかったほか、部品に刻まれた番号などを削ることで、製造元を隠そうとしたとみられる痕跡も確認できたということです。

研究所では、このほか、首都キーウなどに着弾したミサイルについても、いずれも北朝鮮のミサイルだったと結論づけています。

ロシア軍がウクライナへの攻撃で、北朝鮮製のミサイルを使ったと確認されたケースは、去年末以降、これまでに50件ほどにのぼるともされ、こうした指摘を裏付けたかたちです。

犯罪科学研究所で軍事研究部門の責任者を務めるアンドリー・クルチツキーさんは「ロシア製のミサイルと比べて明らかに部品や素材が異なり、ロシアがウクライナに対して北朝鮮のミサイルを使ったと結論づけた。現在は迫撃砲弾の分析を進めている。まだどこのものかはわからないが北朝鮮の可能性がある」と述べ、ミサイル以外でも北朝鮮から供与された砲弾が使われているとみて、実態の解明を進めているとしています。

ロシアと北朝鮮は今月、有事の際の軍事的な支援を明記した新たな条約に署名するなど軍事的な協力関係を一段と高めています。

今後さらに北朝鮮からロシアへのミサイルや砲弾の供与が拡大する可能性もあり、ウクライナや欧米などは警戒を強めています。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。