【ワシントン=芦塚智子】米連邦最高裁は28日、2021年の連邦議会占拠事件を巡り、参加者への起訴の一部が不適切だったとする判断を下した。起訴状に同様の罪が含まれているトランプ前大統領の裁判にも影響する可能性がある。
同事件で複数の罪に問われた参加者の元警察官が、「公式な手続きを妨害した罪」での起訴について破棄を求めた。司法省が起訴の根拠としたのは企業改革関連法の条項で、記録や書類の改ざんや公式の手続きの妨害を犯罪と定めている。原告側は同条項の適用は不当な拡大解釈だと主張した。
判決は司法省が同条項違反で起訴するには、容疑者が公式な手続きに使われる記録や書類などを損なったり改ざんしたりしたことの証明が必要とした。審理を下級審に差し戻した。
判断は6対3で、保守派判事5人とリベラル派判事1人が支持し、保守派1人とリベラル派2人が反対した。
司法省は議会占拠事件で原告のほか300人以上を同条項違反で起訴している。ガーランド司法長官は声明で判決に「失望している」としたうえで、同条項のみを根拠に起訴した事件参加者はいないとして大半の訴追に影響はないと指摘した。該当するケースについては適切な措置を取ると説明した。
トランプ氏が議会占拠事件に関与したとして起訴された事件でも、同条項違反が罪状に含まれている。トランプ氏はSNSで判決に関する投稿を引用し「ビッグニュース!」と歓迎するコメントを載せた。
検察側はトランプ氏が証拠改ざんにあたる行為をしていたとして、最高裁の判断に関係なく条項の適用が可能だと主張している。
最高裁は7月1日にはトランプ氏が主張している大統領としての免責特権を認めるかどうかについて判断を示す見通しだ。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。