【ソウル=木下大資】北朝鮮の朝鮮中央通信は2日、同国のミサイル総局が1日に4.5トン級の「超大型弾頭」を装着する新型戦術弾道ミサイルの発射実験を行い、成功したと報じた。韓国軍は、北朝鮮の報道が「うその可能性が高い」とみる一方、軍事訓練などで対抗姿勢を強めている。

◆2つの飛行距離、韓国は「失敗を偽装」と評価

 同通信は新型ミサイルを「火星11」系列と紹介。米韓軍が「KN23」と呼ぶ短距離弾道ミサイルの改良型とみられる。模擬弾頭を装着し、最大射程の500キロと最小射程の90キロについて、飛行の安定性や命中性能を確かめたという。中射程250キロの検証のための発射実験を7月中に行うとも予告した。  韓国軍は1日午前、北朝鮮南西部の黄海南道(ファンヘナムド)長淵(チャンヨン)付近から北東方向へ発射されたミサイルが1発目は約600キロ、2発目は約120キロ飛行したのを探知した。北朝鮮の主張通りなら、2発ともわざと内陸部に落下させたことになる。軍関係者は「そこが標的とは考えにくい」と指摘し、北朝鮮がミサイルの異常飛行による失敗を偽装しているとの見方を示した。

板門店の南北事境界線に立つ両国兵士ら(資料写真)

 北朝鮮の言う「超大型弾頭」は、高重量の弾頭によって地下施設を貫通して破壊する韓国軍の弾道ミサイル「玄武(ヒョンム)4」などへの対抗が念頭にあるとみられる。  一方で、韓国陸軍は2日、南北軍事境界線から5キロ以内の射撃場での砲撃訓練を6年ぶりに再開した。このエリアでの敵対行為を禁じる南北軍事合意は、北朝鮮が相次いで韓国側へ飛ばしている「ごみ風船」への対抗措置として、先月4日に効力が停止。軍当局は、停止により北朝鮮に対応する態勢強化が可能になったと強調している。 

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