英国は4日、計650人の下院議員を選ぶ総選挙の投開票日を迎える。小選挙区制のため、各選挙区で1票でも多く得た候補がそれぞれ当選する。世論調査では最大野党・労働党が優位に立っており、14年ぶりの政権交代が見込まれている。
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5月30日の議会解散時点の議席数は、保守党345▽労働党206▽スコットランド国民党43▽自由民主党15▽その他41。
労働党は第2次大戦後最大の勝利となった1997年の418議席を超える勢いだ。一方、保守党は同年の165議席を下回る可能性がある。
英国では2001~19年に6回総選挙が実施され、投票率の平均は64.7%だった。今回も同程度になるとみられる。
選挙の争点は?
調査会社モア・イン・コモンが6月下旬に実施した世論調査によると、選挙の争点(複数回答)は、生活費危機64%▽公的医療サービス支援53%▽移民政策25%▽安価な住宅政策19%――となっている。他の複数の調査でも似たような結果が出ており、国民が自らの暮らしや健康、生活環境を重視していることがうかがえる。
スナク首相率いる保守党は「大胆な行動」を掲げる。公約にもそれが反映され、労働者が納める「国民保険料率」の引き下げや徴兵制を選択肢に含む「国家奉仕義務」の復活、難民申請者の一部のルワンダへの強制移送などが含まれている。
労働党は慎重に選挙戦を進めてきた。公約には、年間30万戸の住宅の建設や公的医療機関の待ち時間減少、新たな国境警備司令部の創設、教員の増員が含まれている。ガソリン車とディーゼル車の新車販売は「2030年までに禁止」と現在よりも5年間前倒しにした。
二大政党だけではなく、改革党の得票率にも注目が集まる。前身の英国独立党は15年に12.6%の票を得ており、ブレグジットの是非を問う16年の国民投票につながった。今回、改革党がこれを超えるほどの票を得れば、議席数がわずかでも、今後の英国政治の行方に影響を及ぼす可能性がある。(ロンドン=藤原学思)
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