フランスの議会下院にあたる国民議会の選挙は、577の選挙区のうち1回目の投票で当選者が決まらなかった501の選挙区で決選投票が行われます。
日本時間の7日午後、投票が始まり、このうちパリ市内の投票所では、開始直後から有権者が次々と訪れていました。
選挙は、与党連合と国民連合、それに左派の連合「新人民戦線」の三つどもえの争いとなっていて、世論調査に基づく議席予測では、国民連合が選挙前から大きく躍進して第1党になる勢いです。
与党連合と新人民戦線は、国民連合の勢いを止めるため、決選投票に進む資格を得た候補者の一部を辞退させ一本化を進めてきました。
しかし両陣営は政策面で隔たりも大きく、どこまで票につながるかが焦点となっています。
投票を終えた40代の男性は「私は必ずしもマクロン大統領の政策に賛成しているわけではないが、国民連合をはじめとする過激な政党が政権を握ることは望んでいない」と話していました。
決選投票は即日開票され、日本時間の8日、大勢が判明する見通しです。
“選挙後 さまざまなシナリオがありうる”仏有力紙
マクロン大統領がフランスの将来について国民に信を問うとして踏み切った今回の選挙をめぐり、地元の有力紙フィガロは選挙後には、さまざまなシナリオがありうるとしています。
1つは、国民連合が連携する勢力とともに過半数の議席を獲得するシナリオです。
国民連合のバルデラ党首が首相となり、組閣を行います。
フィガロは世論調査を踏まえ、この可能性は遠のいたように見えても、排除できないとしています。
2つめのシナリオは、国民連合と連携する勢力が最大勢力となっても過半数の議席を獲得できないケースです。
この場合、バルデラ党首が首相になったとしても野党となる中道や左派の勢力によって内閣が倒される可能性がありフィガロは国民連合が野党にとどまることを選択することもありうるとしています。
そしてその場合はさらに2つのシナリオがありうると指摘しています。
1つは、マクロン大統領の与党連合や右派の共和党、それに左派の社会党や場合によっては共産党も含めた幅広い政党が国民連合に対抗する連立を組むシナリオです。
ただ左派の中でも急進左派の「不服従のフランス」は与党連合や右派との連立に向けた交渉の場につくことを望んでいないとしています。
そしてその場合、野党となる国民連合と「不服従のフランス」は、数の上では過半数の議席を占める可能性があるため、連立内閣が誕生しても不信任決議案が可決されるリスクにさらされるとしています。
もう1つのシナリオは、結果的にどの勢力も議会で過半数の議席を占める連立を組むことができない場合です。
フィガロは、次に議会の解散が可能になる1年後まで、党派色の薄い実務家による内閣が国を率い、予算案の成立などに取り組む可能性があるとしています。
いずれのシナリオでもフランスはこれまで経験したことのない未知の領域に入るとしていて、EU=ヨーロッパ連合を主導する立場のフランスで、内政の混乱が続くという見方が強まっています。
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