インドでは、仕事が見つからない貧しい若者などが高額な報酬で勧誘されたり、だまされたりしてロシア軍に雇われるケースが相次いでいて、インド外務省によりますと、少なくとも35人から50人がウクライナとの前線に送られ、これまでに2人の死亡が確認されています。
この問題は9日にモスクワで行われたインドのモディ首相とロシアのプーチン大統領の首脳会談でも話し合われ、両政府はロシア軍に兵士などとして雇われ、帰国を希望するインド人全員を早期に帰還させることで合意しました。
会談後に会見したインドのクワトラ外務次官は「だまされてロシア軍に従軍しているインド人について、モディ首相からロシア側に強い懸念が伝えられた」と話し、インド側が強く働きかけたことを明らかにしました。
インドメディアは早ければ数週間以内に帰還が実現するという見通しを伝えていて、NHKの取材に応じたインド人兵士の母親は「一刻も早く帰ってきてほしい」と訴えていました。
ウクライナ侵攻が長期化するなか、ロシア軍は外国人を雇うことで不足した兵力を補っているとみられ、インドのほかネパールやキューバなどからもロシア軍として戦う外国人が確認されています。
インド人兵士の家族「一刻も早く帰還を」
インド北部ハリヤナ州の農村で失業中だったバルデーブ・モンさん(31)はことし2月、妻と3人の子どもを養うためにインド人のブローカーに誘われてロシアに渡りました。
モンさんの家族によりますと、ブローカーは仕事内容について、ロシア軍の補給の支援だとしたうえで、月収15万ルピー、日本円にしておよそ30万円の給料がもらえると説明を受けたということです。
ところがロシアで10日間ほどの訓練を受けたあと、説明とは異なり、兵士として、戦闘が激しいウクライナの前線に送られたということです。
モンさんは多くの死傷者が出る悲惨な戦場を目の当たりにし、兵士として前線で戦うことは望んでいないとして、帰国することを申し出ました。
しかし、ロシア軍にパスポートを取り上げられているうえに帰国の申し出も拒否され、現在は、ロシアが一方的に併合したウクライナ東部のルハンシク州にあるロシア軍の拠点に配属されているということです。
家族がモンさんと連絡をとれるのは数日に1回程度で、モンさんはいつ命を落としてもおかしくはない状況におびえながら過ごしていると話しているということです。
モンさんの母親は「息子はこの場所から助け出してほしいと、訴えていました。一刻も早く、帰ってきてほしいです」と涙ながらに話していました。
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