【NQNニューヨーク=矢内純一】10日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反発し、前日比429ドル39セント高の3万9721ドル36セント(速報値)で終えた。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が米下院での議会証言で金融引き締めに積極的なタカ派的な発言に踏み込まず、買い安心感につながった。ダウ平均の構成銘柄ではないが、エヌビディアなど半導体株が上昇し、投資家心理を支えた面もあった。

ダウ平均は午前に小幅に下げる場面があったが、午後に上げ幅を広げた。パウエル議長は10日の議会証言で「労働市場の軟化がみられる」などと語り、インフレが鈍化する方向にあるとの認識を示した。前日の米上院での証言に続き、利下げ時期について明言を避けたものの、市場では「FRBによる利下げが近づいているとの安心感が株式相場を支えている」(インタラクティブ・ブローカーズのホセ・トーレス氏)との指摘があった。

個別では、エヌビディアやマイクロン・テクノロジーなど半導体株の上昇が目立った。半導体受託生産の台湾積体電路製造(TSMC)が10日発表した6月の売上高は前年同月比32.9%増だった。人工知能(AI)を追い風とした半導体需要の強さが改めて意識された。

ダウ平均の構成銘柄では、ホーム・デポやハネウェル・インターナショナル、トラベラーズが上昇した。アナリストが目標株価を引き上げたアップルも高かった。一方、ビザとウォルト・ディズニーが下落した。

ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は7日続伸した。前日比218.157ポイント高の1万8647.448(速報値)で終え、7日連続で最高値を更新した。多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数も連日で最高値を更新し、初めて5600台に乗せた。

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