【ワシントン=浅井俊典】アメリカの共和党は15~18日に中西部ウィスコンシン州ミルウォーキーで党大会を開き、11月の大統領選の候補を正式決定する。民主党がバイデン大統領(81)の去就を巡って混乱するのとは対照的に、トランプ前大統領(78)を指名する手続きが順当に進む見通し。大統領選の公約となる党の綱領案には同氏の主張が色濃く反映されるなど「トランプ党」の様相を強め、政権奪還に向けて挙党態勢をアピールする。

◆「公約」発表や副大統領候補を正式指名

 共和党は8日に、党大会で採択される綱領案を発表した。タイトルはトランプ氏のスローガンと同じ「アメリカを再び偉大に」で、移民問題や外交、経済政策などでトランプ氏の主張が盛り込まれた。  大統領選の主要争点の一つの人工妊娠中絶については、妊娠後期の中絶に反対する一方で、支持基盤のキリスト教福音派などが求める全米一律の禁止には言及せず、規制は各州の判断に委ねるとした。中絶の過度な規制への抵抗感が強い女性や若者、無党派層に配慮したとみられる。  不法移民の流入問題では、メキシコとの国境を封鎖し、国内に滞在する「数百万人の不法移民」を本国に送り返す史上最大の強制送還を実施すると明記した。欧州や中東の平和を回復させて「第3次世界大戦を阻止する」ことや、労働者の大幅減税、電気自動車(EV)普及政策の全面見直しなども含まれている。

◆バイデン氏擁立に揺らぐ民主党大会は8月19日から

 党大会では副大統領候補も正式指名されるが、トランプ氏はこれまで候補を明らかにしていない。有力候補としてベストセラー作家としても知られるバンス上院議員、中西部ノースダコタ州のバーガム知事、ヒスパニック(中南米系)のルビオ上院議員らの名前が挙がっている。  民主党は8月19~22日に中西部イリノイ州シカゴで党大会を開く。 

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