国際社会で存在感を増しているインドで19日、総選挙(下院)の投票が始まった。有権者は約9億7千万人に上り、「世界最大の選挙」と称される。有権者は経済発展や宗教の共存などへの願いを込め、一票を投じた。

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 イスラム教徒が多い北部ウッタル・プラデシュ州のカイラナ地区では、早朝から人々が投票所に列をなした。電子投票機に記された候補者名のほか、ハスの花や自転車などの政党のシンボルマークを頼りに投票した。

 主婦のアムナさん(45)は、病気がちの夫と日雇いの仕事で生計をたてている。「雇用や貧困層の支援をもっと充実させて欲しい」と期待する。一方、「主要な政党が宗教間の対立や分断をあおっている」と嘆き、共存を訴えた。

 下院は543議席あり、7回に分けて投票を実施。6月4日に全国一斉に開票される。前回の総選挙では8千人超の候補者が出馬。選挙で勝利した政党から首相が選出されることが多く、首相を2期10年務めているモディ氏は3期目を狙っている。

 この10年でインドのGDP(国内総生産)は拡大し、数年後には日本やドイツを抜き世界3位になると予測されている。ただ、現地の専門家からは「大事なのは、1人当たりの所得を増やせるかだ」との声もあがる。

 2021年に予定されていた国勢調査は現在も行われておらず、経済政策などの基になる質の高い統計調査の実施も課題だ。(カイラナ=石原孝)

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