【カプリ(イタリア南部)=三木理恵子】イタリアでの主要7カ国(G7)の外相会合は19日閉幕した。緊迫する中東情勢だけでなく、ロシアによるウクライナ侵略やインド太平洋の問題も取り上げた。共同声明は中国が海洋進出する東・南シナ海の状況を「深刻に懸念する」と指摘した。
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共同声明は①中東②ウクライナ③中国への対応を含む国際課題――の3つを出した。案件ごとに声明を出すのは珍しく、G7が複数の重要課題を抱えていることを裏付けた。
インド太平洋をテーマとする討議は2023年の日本でのG7会合に続き設定され、上川陽子外相が中国や北朝鮮の問題を説明した。
共同声明で「中国との建設的で安定した関係の重要性を認識する。中国と率直に関わり、我々の懸念を中国に直接説明する必要性を再確認する」と主張した。
台湾海峡の平和と安定の重要性も改めて確認した。「武力や強制力によって現状を一方的に変更しようとするいかなる試みにも反対する」と訴えた。
中国は国際課題に対処するために重要な対話相手だと定義し、協力する用意があるとも触れた。気候変動問題などが念頭にある。
北朝鮮の核・ミサイル開発をめぐり「非合法な軍事行動をエスカレートさせていることを改めて強く非難する」と記した。拉致問題に関してはただちに解決されるべきだと盛り込んだ。
ウクライナ侵略の討議は同国のクレバ外相、北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長も参加した。共同声明に「あらゆる侵略に対する自衛と抑止を可能にするウクライナへの支援を支持する」と明記した。
ウクライナの防空体制の強化を支援すると強調したものの、具体的な手段には触れなかった。
凍結されたロシアの政府資産をウクライナ支援に活用する方法を引き続き検討すると盛り込んだ。6月にイタリア南部プーリア州で開く首脳会議(サミット)に向けて作業を続ける方針を示した。
G7の閣僚会合のなかでも国際情勢に特化して話し合う外相会合はG7サミット前に各国の認識を擦り合わせる役割がある。地理的理由や歴史背景などで生じる差をどこまで調整できるかが重要だ。
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