世界的にも異例の速度で「超少子化」が進む韓国。昨年の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む見込みの子どもの数)は0・72と日本(1・20)を大きく下回る水準だったが、今年も1~3月は前年を下回っている。通年では0・6台に低下し、過去最低を更新する可能性がある。

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 韓国の統計庁は2009年以降、四半期ごとの出生率を公表しており、今年1~3月は0・76だった。1~3月としては最も低い水準となった。昨年1~3月は0・82だった。同庁などによると、韓国では1年間のうち1~3月の出生率が最も高いケースが多いという。

 韓国政府が昨年末に発表した人口の長期推計では、前提となる今年の出生率は「0・68」を見込んでいた。25年は0・65とみており、さらに下がるとの想定だ。

 韓国政府は少子化への危機感を強めている。尹錫悦(ユンソンニョル)大統領は今年6月に開いた「低出産(少子化)高齢社会委員会」の会議で、「今日、人口国家非常事態を宣言する」と述べ、少子化対策に政策を総動員する考えを示した。尹氏は「我々の社会が直面している中で最も根本的かつ致命的な問題が、超少子化による人口危機だ」と強調し、「大韓民国の存亡まで心配しなければならない状況だ」とも述べた。

 韓国政府は少子化対策の司令塔となる担当省を新設する方針。育児休業中の給与引き上げや、中小企業が代替の人材を雇用する際の支援を拡大するといった政策を進める考えだ。

 一方、出生率の向上には時間がかかるとみられる中で、韓国政府は人手不足に対応するために外国人の働き手の受け入れを急速に拡大している。(ソウル=稲田清英)

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