【北京=河北彬光】日本の国会議員や閣僚による中国訪問が活発化している。19日以降、自民党の森山裕総務会長、衆院の海江田万里副議長が訪中し、中国要人と相次いで会談。これに先立ち武見敬三厚生労働相も閣僚として約1年3カ月ぶりに訪中した。両国間の懸案やアメリカ大統領選もにらみ、日中の政治交流が再び動き出した。

◆自民・森山裕総務会長「対話を積み重ねる」

自民党の森山裕総務会長=2023年撮影

 森山氏は23日、王毅(おうき)外相と北京の釣魚台迎賓館で会談した。王氏が「旧友と北京で会うのは容易でない。本当に幸いです」と迎えるなど和やかな雰囲気で進み、時間も予定の倍となる40分間に及んだ。  同席者によると、王氏は東京電力福島第1原発の処理水放出に加え、相次ぐ日本の議員の台湾訪問を挙げて善処を求めた。森山氏は戦略的互恵関係の具体化を求めた。会談後、森山氏は記者団に「対話を積み重ねる。その点で意見が一致した意義は大きい」と語った。  海江田氏は22日、国会に相当する全国人民代表大会(全人代)の常務委員長で中国共産党序列3位の趙楽際(ちょうらくさい)氏と会談。海江田氏は、中国での邦人拘束や日本産海産物の輸入停止、日本に対する短期滞在ビザの免除停止などの解決を求めた。

◆中国が積極姿勢に…5月には次期外相候補が来日した

衆院副議長の海江田万里氏(2019年撮影)

 相次ぐ議員の訪中のきっかけは今年5月。中国共産党の外交を担い、次期外相候補とも目される中央対外連絡部(中連部)の劉建超(りゅうけんちょう)部長が訪日した。自民党幹部らと会談し、途絶えていた自民、公明両党と中国共産党幹部の「日中与党交流協議会」を再開させることで一致した。劉氏は7月22日も森山氏と会談し「日本側との意思疎通を重視している」と強調、協議会の年内開催に向けて調整する意向を示した。  中国側の積極姿勢の背景には、米大統領選でトランプ前大統領が返り咲く前に、日米韓の緊密な関係にくさびを打ち込み、日本をつなぎ止める狙いがあるとみられる。日本側にも、昨年11月の日中首脳会談や政党間協議再開の機運に乗じ、両国間の懸案解決の糸口をつかむ思惑がありそうだ。 

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