米国とロシアなど7カ国は1日、スパイ罪などで収監されていた計24人と家族2人の身柄を交換した。トルコの仲介によって、ロシアと同盟国ベラルーシが計16人を釈放し、米独など西側諸国はロシア人8人とその子ども2人の計10人を引き渡した。大規模な身柄交換が実現したことを受け、バイデン米大統領は1日、ホワイトハウスで演説し「同盟国なしには実現しなかった」と強調した。

◆外交面では「孤立主義」のトランプ氏を意識

バイデン大統領=2023年撮影

 共和党のトランプ前大統領に対して、バイデン氏は「なぜ、大統領の時に実現できなかったのか」とも述べ、ハリス副大統領が民主党の候補指名を確実にしている11月の大統領選に向けて、追い風にしたい意向もにじませた。ロシアによる不当拘束は米社会の関心が高く、バイデン氏は「彼ら(拘束された人たち)は決して希望を捨てなかった」とたたえた。  2021年の大統領就任前から安全保障の担当チームに調査を指示していたことを明かし、現政権が国外で拘束されていた70人以上の米国人を帰国させた実績を強調。その上で「同盟国の重要性を疑問に思う人もいるだろうが、今回のような重大で微妙な問題は信頼できる友人(友好国)の協力が頼りになる」と述べ、外交で孤立主義を掲げるトランプ氏をけん制した。  大統領選を戦うハリス氏は人権重視の政策を打ち出しており、記者団に「ロシアでの拘束後、(拘束された人たちは)信じられないほどの勇気を示した」と語った。「米国はロシアで自由のために戦っているすべての人と共にある」と語り、ウクライナへ侵攻も続けるロシアへの強硬な姿勢を示した。

◆トランプ氏「悪い前例になる」

 一方、トランプ氏は自身が大統領に返り咲いた場合、ロシアのプーチン大統領との関係によって、今回、解放された米国人記者を無条件で帰国させると主張していた。トランプ氏は同日、交流サイト(SNS)に身代金の有無や犯罪者をロシア側に引き渡すことについての疑問を投稿し、「悪い前例になる」と批判した。(ワシントン・鈴木龍司) 

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