スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は22日、2023年の世界の軍事費(一部推計)が前年比で実質6.8%増加し、総額2兆4430億ドル(約378兆円)だったと発表した。世界の軍事費は9年連続で増加し、統計を取り始めた1988年以降で過去最高となった。
報告書によると、上位は米国、中国、ロシア、インド、サウジアラビアで、5カ国の合計が世界全体の61%を占めた。上位10カ国はいずれも前年から増加しているという。
欧州、アジア・オセアニア、中東で特に大幅な増加があったとし、ウクライナは前年比51%増の648億ドルで前年の11位から8位となった。
「中国の脅威により日本も大幅強化」と分析
ウクライナ単独の軍事費はロシアの軍事費(1090億ドル)の59%だったが、米国を中心に少なくとも350億ドルの軍事援助を受けており、これを合わせるとロシアの軍事費の約91%に達した。
イスラエルは、2023年10月のイスラム組織ハマスの奇襲に端を発したパレスチナ自治区ガザへの大規模な攻撃が主に支出を促し、24%増の275億ドル。日本は11%増の502億ドルで前年の9位から10位となった。報告書は台湾でも11%増えたことなどに触れ、「中国の脅威によって日本や台湾は軍事力を大幅に強化し、この傾向は今後数年でさらに加速するだろう」と指摘した。
SIPRIは「前例のない軍事費の増加は平和と安全保障環境の悪化を反映している」と分析した。(村上友里)
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