真実・和解のための過去事整理委員会 韓国政府が設置した独立機関。革新系の盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権期の2005年、真実・和解のための過去事整理基本法に基づき設立され、2010年に第1期の活動を終えた。2020年に第2期委員会が発足。過去の軍事政権による人権弾圧などを調査し、真相究明や被害者の名誉回復に取り組んでいる。
ソウルで2022年、「真実・和解のための過去事整理委員会」に申請書を提出後に会見する川崎栄子さん(中央)ら=木下大資撮影
日朝間の帰還事業に対し、韓国として調査を実施したのは初めて。調査を求めた脱北者らへの聞き取りのほか、当時の韓国政府が作成した公文書や日本側の資料などを分析した。 その結果、帰還事業に際しては個人の意思を確認する機会が不十分で、意思に反して乗船させられた人もいたと指摘。帰還者の多くは首都平壌(ピョンヤン)以外の協同農場や鉱山などの労働者として配置され、「敵対階層」と見なされて監視や差別を受けたと確認した。 委員会は、日本政府と日本赤十字社に対しても「北朝鮮の現実と帰還事業の実態を確認できたのに事業を支援・持続させ、人権侵害を容認した」と批判。仲介役だった国際赤十字委員会も「役割を果たせず、傍観した」と指摘した。また、国連に対し、帰還者とその家族の被害や行方などを調査するよう要請した。 帰還事業で北朝鮮に渡った在日2世で、2003年に脱北した川崎栄子さん(81)=東京=は「韓国政府の正義に対する理念をはっきりと示した決定で、国際社会に大きく影響すると思う」と喜んだ。 鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。