11日、ザポロジエ原発の冷却塔から立ち上る煙を捉えた監視カメラの画像=ウクライナ大統領府提供・AP

【キーウ=共同】ウクライナのゼレンスキー大統領は11日、ロシアが占拠するウクライナ南部ザポロジエ原発の敷地内で、ロシア軍が火災を起こしたと通信アプリに投稿した。国際原子力機関(IAEA)は「原発の安全性に影響はない」としている。原発の対岸に位置するニコポリの当局者によると、冷却塔で大量のタイヤに放火したとの情報があるという。

一方、タス通信によると、同原発を事実上管理するロシア国営原子力企業ロスアトムは、ウクライナ軍による2度の無人機攻撃が11日夜にあったと主張し、非難の応酬となった。冷却塔施設内で火災が起きたが、同深夜までに消火したとした。

IAEAは声明で、派遣されている専門家らが「複数の爆発音の後、原発の北西側から黒煙が上がるのを目撃した」とし「冷却塔の一つが無人機攻撃を受けたと伝えられた」と明らかにした。冷却塔の損傷は原発の安全性に影響しないとした上で、原因調査のため立ち入り調査を要請した。

欧州最大のザポロジエ原発は、ウクライナ侵攻開始直後の2022年3月にロシア軍が制圧。6基の原子炉のうち最後まで「高温停止」状態だった4号機を今年4月に冷温停止に移行させ、全原子炉が安定的に停止した状態にある。

ただ原発周辺では無人機などによる攻撃が相次いでおり、安全性への懸念が高まっている。IAEAのグロッシ事務局長は「無謀な攻撃は原子力事故のリスクを高める。今すぐにやめなければならない」と訴えた。

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