【ソウル=上野実輝彦】韓国政府は15日の「光復節」に合わせて特別赦免(日本の恩赦に相当)を行い、元政治家ら約1200人が刑の減免や公民権復活などの措置を受けた。大統領の権限で「司法判断を曲げる」(韓国紙)とも言われ、政治利用の側面が強いとの見方がある。

◆過去71回で21万人が対象に

韓国国旗

 今回の特赦では、ネット上の不正な世論操作に関わったとして懲役刑が確定していた金慶洙(キムギョンス)・前慶尚南道知事の公民権が復活した。政府は「社会の統合」を強調したが、次期大統領選での革新系有力候補とも言われる人物だけに、革新陣営の内部分裂を狙った措置だとの指摘がある。  韓国メディアによると、特赦が始まったのは李承晩(イスンマン)大統領時代の1951年。法務省の記録に残る80年以降では、71回の特赦で約21万人が対象となった。

◆「反省ない人物の公民権復活は疑問」

 97年に金泳三(キムヨンサム)大統領は全斗煥(チョンドゥファン)、盧泰愚(ノテウ)の両大統領経験者を特赦した。次期大統領に決まっていた金大中(キムデジュン)氏の進言を受け入れたとされる。2009年には李明博(イミョンバク)大統領が、平昌冬季五輪誘致に向けサムスングループのトップ李健熙(イゴンヒ)氏を特赦。21年には文在寅(ムンジェイン)大統領が前任大統領の朴槿恵(パククネ)氏を特赦し、保守陣営を揺さぶる意図が指摘された。  聯合ニュースは、今回の特赦に対し「謝罪や反省のない人物の公民権復活に疑問が残る」として、政府の明快な説明を求めた。 

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