民主党全国大会で演説したヒラリー・クリントン元国務長官=AP

【シカゴ=芦塚智子】2016年の米大統領選で民主党の大統領候補だったヒラリー・クリントン元国務長官が19日、民主党全国大会で演説した。クリントン氏は自身を含めた女性の米政界進出の歴史を振り返ったうえで「未来がいまここにある」と述べ、自身が果たせなかった米国初の女性大統領実現の夢をハリス副大統領に託した。

クリントン氏は、1972年に黒人女性として初めて主要政党の大統領候補指名を目指した民主のシャーリー・チザム下院議員(当時)や、84年に主要政党で女性初の副大統領候補だったジェラルディン・フェラーロ氏に言及した。

クリントン氏は16年の大統領選で共和党のトランプ前大統領に敗れたが、自身の得票を念頭に「6600万人近い米国民が、夢に天井がない未来のために投票した」と強調した。

クリントン氏は女性の昇進を阻む見えない障壁を指す「ガラスの天井」に触れ、「私たちはともに、最も高く固いガラスの天井(大統領職)に多くのひびを入れた。そして今晩、それをもう少しで完全に打ち破るまで近づいている」と述べ、ハリス氏が女性初の大統領になることに期待を示した。

ハリス氏について「人格と経験、我々を前進へと導くビジョンを兼ね備えている」と称賛し「彼女は全米で人工妊娠中絶の権利を取り戻す」と訴えると、聴衆から割れるような歓声が湧いた。

再選出馬を断念したバイデン大統領についても「国内外で民主主義の擁護者であってきた」とたたえ「ジョー・バイデン、生涯の献身とリーダーシップをありがとう」と呼びかけると、会場から「サンキュー、ジョー!」のコールが上がった。

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