イタリアのシチリア島の沖合でヨットが沈没し、1人死亡、6人が行方不明です。
地元当局によりますと、シチリア島の沖合で19日、イギリス人ら22人が乗った大型ヨットが沈没しました。
沿岸警備隊が15人を救助しましたが、海底に沈んだ船体の中から1人の遺体が見つかったということです。
また6人が行方不明になっていますが、中にはイギリスの起業家、マイク・リンチ氏(59)も含まれていて、イギリス当局は調査員を4人派遣しました。
イギリスのメディアによりますと、ヨットは19日の早朝、竜巻による豪雨や強風で転覆したとのことです。
シチリアで一体何が起きていたのか、立石修解説委員室長が詳しくお伝えします。
イギリスなどヨーロッパでは今、このニュースでもちきりです。
なぜかというと、行方不明となっている6人の中にイギリスやアメリカのVIPが含まれているからです。
1人はマイク・リンチという人物。
“イギリスのビル・ゲイツ”とも呼ばれたIT界の大物です。
かつてソフトウェアの会社を立ち上げ、その会社をアメリカのヒューレット・パッカード社に110億ドル、今のレートで1兆6000億円以上という額面で売却。
まさに億万長者になるわけですが、実はこの売却をめぐっては、資産内容に虚偽があったとして詐欺で訴えられ、法廷闘争を続けてきた人物でもあります。
そしてもう1人、行方不明になっているのがアメリカの投資銀行であるモルガン・スタンレーの関連会社であるモルガン・スタンレー・インターナショナルという会社のジョナサン・ブルーマー会長です。
他にも著名な弁護士も行方不明になっています。
──そうそうたる面々がなぜ一緒にいた?
BBCなどによると、このヨットの所有者は行方不明となっているリンチ氏の妻の会社。
このヨットは全長が56メートルあり、6つのスイートルームを持つ豪華ヨット。
リンチ氏はヒューレット・パッカードとの訴訟で無罪判決が先日出たばかりで、イギリスメディアによると、そのお祝いのためにパーティーを開いてゲストを招いていたといいます。
そのため、いわゆるVIPが集まっている中で今回の事故が起きてしまったとみられています。
──竜巻が起きていたという状況だった?
通常この時期の南イタリアは、暑いですがカラッとしていて、天気はいいです。
ところが日本と同じく猛暑のため、海面温度が異常に上昇している。
この事故当時、シチリアでは通常より3度も高い30度近くの海面温度に達していたといいます。
そのため日本と同じように局所的な豪雨や竜巻が起きています。
事故当日の港周辺の防犯カメラの映像では、激しい風が吹いて、物が激しく飛ばされているのが分かります。
この事故に遭ったヨットはいかりでつながれていましたが、マストの高さが75メートルもあって、実はこれは世界で2番目に高いもの。
目撃者証言などから、強風によってこの巨大なマストが折れてバランスを崩し、港に沈んだ可能性が浮上しているといいます。
竜巻の風でマストが折れることによって、いかりで停泊しているがバランスを崩して、船が地中海に転覆してしまったという状況です。
イタリア当局は今も懸命な捜査を続けて、残りの行方不明者6人を捜しているということです。
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