【NQNニューヨーク=戸部実華】21日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、前日比55ドル52セント(0.13%)高の4万0890ドル49セントで終えた。米雇用統計の年次改定や米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨の公表を受け、米連邦準備理事会(FRB)による9月の利下げ観測が相場を支えた。もっとも、23日に予定されるパウエルFRB議長の講演を見極めたい雰囲気が強く、ダウ平均の上値は限られた。

米労働省は雇用統計の年次改定で、2024年3月までの1年間の雇用者数が81万8000人の下方修正になるとの推定値を公表した。「従来の想定ほど雇用が伸びていなかったことになり、FRBが労働市場により配慮するようになった局面で9月の利下げを後押しする」(LPLファイナンシャルのクインシー・クロスビー氏)との受け止めがあった。

FRBが午後に公表した7月開催分のFOMCの議事要旨では、大多数の参加者が「想定内のデータが今後も続けば、次回(9月)の会合で金融緩和をするのが適切になる可能性が高い」とみていた。何人かの参加者は「今会合(7月)での利下げを支持することもあり得た」と考えていたこともわかった。市場では「FOMCは9月に利下げする準備ができている」(PNCフィナンシャル・サービシズ・グループ)との指摘もあった。

ダウ平均の上げ幅は一時100ドルを超えたものの、下げに転じる場面もあった。パウエル議長はカンザスシティー連銀主催の経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)で23日に講演する。政策見通しばかりではなく「労働市場を中心に景気認識をどうみているか確認したい」(ミラー・タバックのマシュー・マリー氏)との声も聞かれた。週初にかけて米株相場が大幅に回復した後で、積極的な買いを見送る雰囲気もあった。

個別銘柄ではインテルやマクドナルド、スリーエムが高い。ウォルト・ディズニーやウォルマート、ホーム・デポといった消費関連株の一角も買われた。半面、アナリストが投資判断を引き下げたアメリカン・エキスプレスの下げが目立った。ユナイテッドヘルス・グループやセールスフォースも売られた。

ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は反発した。前日比102.050ポイント(0.57%)高の1万7918.987と、7月23日以来の高値で終えた。メタプラットフォームズやエヌビディアが買われた。

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