ウクライナの議会は21日に国際刑事裁判所(ICC)の加盟に必要な条約である「ローマ規定」を批准する法案を可決した=AP

ウクライナ最高会議(議会)は21日、国際刑事裁判所(ICC)の加盟に必要な条約である「ローマ規定」を批准する法案を賛成多数で可決した。ウクライナは欧州連合(EU)への加盟につなげるほか、ロシアによる戦争犯罪の追及に向けた姿勢を明確にする。

ウクライナメディア「キーウインディペンデント」などが伝えた。

ウクライナによるローマ規定の批准は、交渉が始まったEUへの加盟条件を満たすことにつながる。クレバ外相は声明で「批准により、ウクライナはEU加盟に向けた重要な一歩を踏み出した」と述べた。

クレバ氏は国際司法の強化に向けた揺るぎない決意を示したとも言及した。

ICCは2023年3月、ウクライナで子どもの連れ去りに関与した疑いで、ロシアのプーチン大統領に逮捕状を出している。

ウクライナメディアによると同国は00年にローマ規定に署名した。これまではウクライナの兵士が戦争犯罪に問われる可能性などを考慮し、批准を見送っていた。

ウクライナは6日にクルスク州に越境攻撃を開始した。ロシア軍は応戦しているものの、数千人規模とみられるウクライナ軍の掃討に時間がかかっており、長期化の様相を呈している。

ロシアはクルスク原発へのウクライナの攻撃を警戒している。プーチン氏は22日の政府会合で、同日未明にかけてウクライナがクルスク原発を攻撃しようとする動きがあったと指摘した。国際原子力機関(IAEA)にも通報したという。

英フィナンシャル・タイムズは21日、IAEAのグロッシ事務局長がロシア西部のクルスク州にあるクルスク原子力発電所を近く訪問する意向を示したと報じた。グロッシ氏はウクライナ軍の越境攻撃に伴い、原発施設が損傷するリスクを深刻に受け止めているという。

ロシアが報復に向けてウクライナ領への攻撃を一段と強める可能性もある。

在ウクライナ米国大使館は21日、ウクライナ独立記念日である24日前後にロシアによるミサイルやドローン(無人機)による攻撃が同国全土で強まる可能性があると指摘した。在ウクライナの中国大使館も同様の警告を出した。

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