パレスチナのガザ地区での停戦や人質の解放に向けた協議について、アメリカのメディアなどは22日、仲介国エジプトにイスラエルとアメリカの当局者が到着し、エジプト側との協議を始めたと伝えていました。

アメリカのニュースサイトアクシオスは23日、今回の協議でイスラエル側はアメリカのバイデン大統領の要請に応じる形で、ガザ地区南部にあるエジプトとの境界地帯の戦略的要衝「フィラデルフィ回廊」に展開する部隊の一部を一定程度、離れた場所に配置する案を示したと報じました。

また、仲介国のエジプトはイスラエル側の提案をハマス側に伝えることを了承したということです。

アメリカ・ホワイトハウスのカービー大統領補佐官は23日、記者団に対し「建設的な議論が行われた。協議は前進している」と述べ、前日の協議を振り返った上で「ハマスが協議に参加する必要があり、詳細を詰めるという本題に入らなければならない」と述べ、週末にかけて協議が続く見通しを明らかにしました。

ただ、イスラエル軍のガザ地区からの完全撤退を求めているハマス側の要求からは隔たりが大きいだけに、協議の行方は不透明です。

フィラデルフィ回廊とは

「フィラデルフィ回廊」はガザ地区南部とエジプトの境界沿いに広がる全長およそ14キロ、幅およそ100メートルの緩衝地帯で、ことし5月、イスラエル軍が制圧しました。

ガザ地区に支援物資を搬入したり、病気の患者や負傷者をエジプト側へ脱出させたりしたラファ検問所もこの回廊上にあります。

「フィラデルフィ」という名称の由来は、イスラエル軍が無作為に選んだコードネームとされています。

イスラエルは、ハマスが回廊の一帯に無数の地下トンネルを築き、エジプト側から武器を密輸しているとして、停戦と人質の解放に向けた協議では、今後も部隊の駐留を続けると主張しています。

これに対してハマスは、イスラエル軍が駐留を続ける目的は人質の解放後にいつでもガザ地区での攻撃を再開できるようにするためだとして強く反発しています。

また、協議の仲介国であるエジプトも、本来、非武装地帯である回廊を制圧し、駐留の継続を主張するイスラエルに強く反発していて、AP通信はエジプト当局者の話として、「エジプトもハマスも受け入れることはできない」と報じています。

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