イスラエルへの大規模攻撃に踏み切ったレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの最高指導者、ナスララ師は25日の演説で、攻撃のタイミングはパレスチナ自治区ガザの停戦交渉の状況を見極めたものだったと明かした。

 イスラエル軍は7月30日にヒズボラのシュクル司令官を空爆で殺害した。ヒズボラが報復攻撃に出るまでに1カ月近くをかけた理由について、ナスララ師は、「我々の目的はガザの戦争を止めることにある」とし、8月中旬から再開した停戦交渉の進捗(しんちょく)に注目していたことを説明した。

 報復攻撃にあたっては、ヒズボラだけでなく、イランの支援を受ける武装組織のネットワーク「抵抗の枢軸」の枠組みで実施することも検討されたという。

 しかし、ナスララ師は「ネタニヤフ(イスラエル首相)は新たな条件をつけ始め、停戦交渉に長い時間がかかることが明らかになった」と批判し、ヒズボラ単独での攻撃に踏み切ったと述べた。

 ロイター通信などによると、エジプトのカイロで続いていた停戦交渉の関係国の高官協議でも、イスラエル側とイスラム組織ハマスの主張の溝は埋まらず、合意には至らなかった。作業チームが引き続き、カイロで協議を続けるという。(エルサレム=河野光汰)

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