【ワシントン=浅井俊典】米民主党のハリス副大統領(59)は29日放送のCNNテレビのインタビューで、11月の大統領選で当選した場合、共和党からも閣僚を起用する考えを明らかにした。「私の閣僚に共和党員がいることは国民の利益になる」と説明。党派を超えた結束を目指す姿勢を示す狙いとみられる。

米シカゴの民主党大会で、大統領候補の指名を受諾し、演説するカマラ・ハリス氏=鈴木龍司撮影

◆「多様な意見を受け入れること」

 ハリス氏が大統領候補となってから主要メディアのインタビューを受けるのは初めて。副大統領候補のウォルズ・ミネソタ州知事(60)も同席した。  インタビューでハリス氏は、共和党からの閣僚起用について「私は自分のキャリアを多様な意見を受け入れることに費やしてきた。重要な決断をするときに、異なる意見や経験を持つ人に加わってもらうのが大切だと考えている」と述べた。ただ、現時点では特定の人物はいないとした。  過去にも民主党のオバマ元大統領が国防長官に共和党のチャック・ヘーゲル氏を、共和党のブッシュ(子)元大統領が運輸長官に民主党の故ノーマン・ミネタ氏を充てるなど、両党の融和を狙った起用例がある。

◆国境管理は強化の姿勢

 共和党候補のトランプ前大統領(78)から「不法移民の大量流入を招いた」と批判される移民対策に関しては、国境管理を強化する姿勢を強調した。環境に悪影響を与えると指摘されるシェールガス・オイル採掘手法「フラッキング(水圧破砕法)」については、「禁止しない」と明言。2020年大統領選の党予備選ではこの採掘手法に反対を表明していたが、化石燃料関連産業が盛んな激戦州ペンシルベニアなどを意識して修正した。  これに対し、司会者から移民対策やフラッキングについて立場を変えたのかと問われると「私の政策観と決断で重要な点は、価値観が変わっていないことだ」と反論した。  当選して最初に取り組む政策には、中間層の強化を挙げた。トランプ氏がハリス氏の出自を巡り「ずっとインド人だったのに、突然黒人になった」とやゆしたことについては、「使い古された戦略だ」と切り捨てた。 

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