<ミャンマーの声>
 軍事クーデターが起きたミャンマーで苦しむ人々を支援するため、東京都内で街頭募金を続ける在日ミャンマー人の少年を東京新聞と中日新聞の特報面で取り上げたところ、都内と名古屋市の読者から寄付の申し出があった。少年は新宿区立中学2年のナインさん(13)。寄付に喜びと謝意を表し、母国への支援の輪がさらに広がるよう願った。(北川成史、山野舞子)

ナインさんの活動を伝えた7月7日の記事はこちら

13歳のミャンマー人少年は、東京の街で訴える 「みなさまの力が必要です」 故郷で苦しむ同級生のぶんまで


◆ソバ焼酎「ビルマの竪琴」1杯につき100円を募金に

 ナインさんはミャンマーの学校に通っていたが、コロナ禍で対面授業が中止になり、父が働く日本に。滞在中の2021年2月にクーデターが発生した。将来、日本で航空技術を学び、平和になった母国に戻って生かしたいと夢を描きつつ、仲間と街頭募金を続ける。

東京都内の女性からのメッセージを読み、笑顔を見せるナインさん=都内で

 名古屋市守山区中志段味(なかしだみ)で小料理店「森林」を営む女性(51)は、ミャンマー産のソバを使った焼酎「ビルマの竪琴」を1杯650円で提供している。うち100円をナインさんらの募金活動に寄付する。ある程度の額がたまったら、ナインさんに送る予定だ。  女性はこれまでミャンマーとの関わりはなかったが、7月、記事でナインさんの活動を知った。街頭に立つ13歳の少年の姿。「僕より幼い子が山や森の中に避難している」と、ミャンマーの窮状を訴える言葉に胸を打たれた。

◆「日本の100円は、ミャンマーでは1食分になる」

 「何か自分にできることはないか」。インターネットで調べて「ビルマの竪琴」を知り提供することに。店内には募金箱も置いた。客から「これは何?」と聞かれると、ミャンマーの現状やナインさんの活動を説明する。女性の思いに共感し、寄付してくれる人も多い。女性は「私にできることはわずかだけど、少しでも力になれるといい」と思いを込める。

居酒屋「森林」の店内に置かれた焼酎「ビルマの竪琴」とミャンマーを支援するための募金箱=名古屋市守山区中志段味で

 「とてもうれしい。東京から離れた名古屋の人まで応援してくれるとは想像していなかった」。ナインさんは喜びを表す。「日本ではたった100円でも、ミャンマーでは1食分の価値がある」  ほかにも記事を読んだ都内在住の70代女性が、本紙を通じ、ナインさんに4万円を寄付した。

◆2万円はミャンマーのため、残り2万円はナインさんの夢のために

 「ナインさんの年齢は、どの国にいても将来の不安で悩むものですが、故国が戦場であっては、その深さはいかばかりかとも思います」。寄付にはこんなメッセージが添えられていた。「2万円はミャンマーのために、残りの2万はナイン君が航空技術を得るための教育に役立ててくださると幸いです」  「ありがたいです」とナインさんはかみしめるように言う。「自分の夢を追いかけ、いつか自立して、自分の収入でミャンマーを支援できるようになりたい」  ミャンマーではクーデター後、国軍と民主派や少数民族武装勢力との内戦が続き、国内避難民は約300万人に上る。  ナインさんは苦境にあるミャンマーの人々への関心と支援の思いが、日本で高まるよう望んだ。「多くの子どもたちが避難民になっている。彼らを助けるには、みなさんの力が必要です」 

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