米国の景気先行き不安が高まり、原油先物は売られている=ロイター

【ヒューストン=花房良祐】米ニューヨーク市場で4日、原油指標のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物は前日比1.6%安い1バレル69.2ドルで取引を終えた。70ドルを割り込むのは2023年12月以来。米国や中国の景気の先行き懸念が強まったことで原油需要が弱含むとの観測が強まり、年初来安値となった。

米国は9月2日の祝日で夏の行楽シーズンが終了し、ドライブのガソリン需要が落ち着く季節に入った。景気不安が追い打ちをかける格好で原油先物に下落圧力がかかった。6日に米雇用統計の発表を控えて市場では警戒感が広がっている。

世界最大の原油輸入国である中国も不動産市場の不振などで景気が弱含み原油需要の盛り上がりに欠ける。8月の製造業の景況感指数は6カ月ぶりの低水準だった。

供給面では北アフリカ・リビア東部の油田地帯から原油出荷が再開されるとの見方が台頭し、供給増で需給が緩むとの観測につながっている。国連が同国内の対立勢力の仲介を続けており、対話に前進があったと報じられたことで原油先物が売られた。

需給緩和の見通しを巡り産油国は警戒を強めている。ロイター通信は、石油輸出国機構(OPEC)とロシアなどで構成する「OPECプラス」が原油の減産幅縮小の延期を協議していると報じた。

米国では11月に大統領選挙を控え、共和党候補のトランプ前大統領はバイデン政権下でガソリン価格が上昇したと批判してきた。原油価格の低下はガソリン価格の低下につながるだけに、民主党候補のハリス副大統領にとってはプラス材料となりそうだ。

【関連記事】

  • ・ガソリン店頭価格、2週ぶり下落 1リットル174.4円
  • ・原油価格、変動の裏にカナダ産 輸送能力拡大で存在感

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。