国連の安保理では、アメリカやロシアなど拒否権を持つ常任理事国がウクライナ情勢などで対立し、機能不全に陥っていると指摘され、改革を求める声が高まっています。
こうした中アメリカのトーマスグリーンフィールド国連大使は12日、ニューヨークで講演し、「アフリカのために常任理事国に2議席を設けることを支持する。それが正しいと信じるからだ」と述べ、具体的な国名はあげませんでしたが、新たにアフリカの2か国を常任理事国に加えることを支持すると発表しました。
あわせて、気候変動による影響をうける島しょ国1か国も加えるべきだとしています。
ただ、拒否権については「拡大すれば安全保障理事会が機能しなくなる」と述べ、現在の5か国にとどめる考えを示しました。
また、日本やドイツなどが常任理事国入りを求めていることについても、引き続き支持するとしています。
アフリカ諸国は現在、安保理の非常任理事国10か国のうち3議席を確保していますが、平和維持活動など安保理の議題のおよそ6割をアフリカ関連の事案が占めるなか、現状では当事者の意見が十分に反映されないと不満を表明してきました。
専門家「多くの国々は前向きだと言うかもしれない」
ベルギーに本部を置く国際的なシンクタンク「国際危機グループ」で国連を担当するリチャード・ゴーワン氏は、12日、NHKとのインタビューで、アフリカの2か国の常任理事国入りの可能性について、「常任理事国のアメリカやイギリスでさえ、安保理が今日の世界における力の実態に合っていないことを認識している。中国やロシアを含む多くの国々は国連のアフリカグループを怒らせたくないので、アフリカに常任理事国を与えることに前向きだと言うかもしれない。プロセスにはまだ時間がかかると思うが、安全保障理事会にアフリカの代表が参加するようになれば、アフリカにおける国連の平和維持活動の信頼性が高まるかもしれない」と話していました。
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