5月20日に台湾の総統に就任する頼清徳氏は25日記者会見を開き、安全保障政策などを担当する8つの要職の人事を発表しました。
このうち、
▽安全保障に関する重大方針を決める際の諮問機関である国家安全会議の事務局トップの秘書長に呉※ショウ燮氏
▽国防部長に顧立雄氏、▽外交部長に林佳龍氏
▽対中国政策を担当する大陸委員会のトップの主任委員には邱垂正氏を充てます。
呉氏は、蔡総統1期目の最初の1年間も国家安全会議秘書長を務め、2018年から外交部長に在任中です。
また、文民で国防部長になる顧氏は、蔡総統の2期目の開始から国家安全会議秘書長を務めていて、呉氏とともに去年2月にアメリカを訪問し、国務省や国防総省などの高官と会談しています。
このほか、邱氏は去年まで7年近く大陸委員会の副主任委員として、「挑発もせず、圧力にも屈しない」とする蔡総統の対中国政策の一翼を担いました。
頼氏の新政権の人事は、アメリカや中国などに向けて現在の蔡総統の路線を踏襲する姿勢を示す顔ぶれとなっています。
※ショウは「かねへん」に「りっとう」。
頼氏 中国に対し対話に応じるよう改めて呼びかけ
頼清徳氏は、新政権の閣僚などを発表した25日の記者会見で、中国に対して民進党政権との対話に応じるよう改めて呼びかけました。
中国の共産党政権は「台湾と中国大陸はともに1つの中国に属する」と主張し、これを認めない台湾の民進党政権との対話を拒否する一方、これを認める野党の国民党とは交流していて、4月10日には、習近平国家主席が北京で馬英九前総統と会談しました。
こうした中、民進党のトップでもある頼清徳次期総統は、25日の記者会見で「台湾の人たちが選んだ合法的な政府に、中国は自信を持って向き合ってほしい。これこそ、台湾海峡両岸の交流の正しい道だ」と述べ、中国に対して、前提条件をつけずに民進党政権との対話に応じるよう改めて呼びかけました。
民進党によりますと、頼氏は24日の党内の会議で「両岸の政権党どうしが責任を持って良性の対話を行うべきだ」と述べたということで、台湾の一部のメディアは「台湾の主権を否定する中国に『党対党』の枠組みを示した善意の呼びかけだ」という見方を伝えています。
頼氏を「台湾独立派」として警戒する中国当局も、1月の総統選挙前と比べれば、頼氏個人への非難のトーンをいくぶん下げているようにも見え、5月の総統就任をにらんで双方が間合いをはかっている様子がうかがえます。
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