外務省は中国の日本人学校がスクールバスの警備員を配置する費用を補助する。6月下旬に江蘇省蘇州市で起きたスクールバスの襲撃事件を踏まえて対応する。現地で子どもの安全を守る体制を強化し、日本企業の活動に影響が出ないようにする。

2025年度予算案の概算要求で、初めて中国でのスクールバスの警備費として3億5000万円を計上した。バス1台につき警備会社から警備員一人を配置するための経費を軸に充てる。26年度以降も中国向けに同様の予算を確保する方向だ。

中国では一般的にスクールバスに同乗する案内係が生徒の安全を見守る。案内係は一般人が担う例が多く、事件が起きた場合に対応できない恐れがある。

在中国日本大使館によると、中国本土には上海や北京など9つの都市に11の日本人学校があり、24年4月15日時点で3305人が通う。新型コロナウイルス禍で減少したものの、再び増加傾向にある。

インターナショナルスクールなどに通う日本人向けの補習授業校も複数ある。在留邦人は10万人程度だ。

日本人は中国で比較的治安の安定した場所に住むことが多い。政治情勢に影響を受けて身に危険が及ぶリスクは低いとみられてきた。蘇州市で男が日本人学校のスクールバスを襲い児童らを守った中国人女性が死亡したのを踏まえて体制を見直す。

これまで東南アジアや中東、アフリカの国でスクールバスの警備費を確保した実績がある。

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