中国南部の深セン市で、日本人学校に通う男子児童が男に刃物で襲われた事件で、19日未明に男子児童が死亡しました。

事件が起きた深セン市から、FNN北京支局・葛西友久記者が中継でお伝えします。

ーー今回の事件、現地の日本人の方々はどのように受け止めているのでしょうか?

3カ月前、上海に近い蘇州市でも日本人親子が刃物で襲われる事件があったばかりで、今回、男子児童が死亡したことに中国の日本人社会では大きな衝撃が広がっています。

事件は中国の人々にも伝わっていて、現場近くには花を手向ける人が相次いでいます。

ここ深セン市は「中国のシリコンバレー」とも呼ばれ、ハイテク産業が集まり、多くの日本企業も進出する地域で安全な街と考えられていました。

しかし、男子児童死亡の一報を受け、4歳の子どもを持つ日本人の父親は、「深センに来て2年になるが、危険と思ったことは一度もなかった。今回の一件はとてもショックで、安全という認識が大きく崩れてしまった」と不安そうに話していました。

そして最大の焦点は、犯行動機です。
事件が発生した9月18日は、反日感情が高まりやすい満州事変の発端となった『柳条湖事件』が起こった日です。

「日本人だから狙われたのか」など強い不安が広がっており、「今後、子どもには日本人と分かるランドセルを使うのをやめることを考えている」という親御さんもいました。

なぜこのような事件が起きてしまったのか、中国政府には、犯行の経緯や動機についてなど、十分な説明をすることが求められます。

このニュースについて、フジテレビ・立石修解説委員室長と見ていきます。

当時の状況はというと、男子児童は親と一緒に登校していて、刺されたのはこの男の子だけだったといいます。
日本人らしい格好をしていたという情報が入ってきています。

日本人、現地ではランドセルを背負っている生徒もいるという状況です。

現在、中国経済が失速していることから、中国では通り魔的な事件が増えていて、今回も日本人を狙った犯行だとは現時点の情報では断定ができません。

しかし事件当日は、柳条湖事件が起きた日で、反日感情が一気に高まる、その中で日本政府は中国側に日本人学校での万全の安全対策を呼びかけていました。
そうした中で、今回の事件が起きたということです。

そして、男子児童が亡くなった事実を国営メディアは報じておらず、一部のネットメディアだけが報じ始めたという状況です。

6月に蘇州で日本人親子が襲撃された事件も、数カ月たっても、いまだに動機が分からないという状況です。

日本人親子が襲撃された事件の時は、「中国人の女性が身をていして親子を守った。自分の命を落とされた」というように、親日、日本のことを大切に思ってくれる中国の人もいるのに、中国政府が情報をなかなか公開しないという体質を変えていかないと、日本人の不信感は消えません。

特に、今回は10歳の男の子が亡くなったという非常に痛ましい事件で、日中関係の根幹にも関わりかねない問題です。

中国政府はもっと説明を尽くすべきですし、中国に行く日本人、中国に今いる日本人が安心できるように真相の究明を強く求めたいと思います。

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