人工知能(AI)の進化が急速に進むなか、国連の諮問機関が、AIのリスクに関する理解や適切な対応を促す専門家パネルを国連に設置することなどを含む提言をまとめた。22日から始まる国連の「未来サミット」で議論し、実現を目指す。

 昨年10月に設置された研究者らによる諮問機関が19日に最終報告書を公表。そのなかで、世界の地域バランスなども考慮したAI専門家らによる独立した「国際科学パネル」の創設を勧告した。パネルの具体的な枠組みは今後議論を進めるが、「証拠に基づく影響やリスク、可能性の評価を通じた科学的な理解の促進」を目指すとしている。

 国際科学パネル設置を含む提言は、未来サミットの成果文書に付属する「グローバル・デジタル・コンパクト」の柱の一つで、成果文書との一括採択を目指して交渉が続けられている。グローバル・デジタル・コンパクトはまた、各国政府や民間を含めた利害関係者が最新情報を議論できる場の必要性をうたい、「AIガバナンスに関するグローバル対話」を国連に設けることを提唱している。

 未来サミットは、国際協力の強化や多国間主義の再活性化を目指して国連総会一般討論を前にした22日に米ニューヨークの国連本部で開幕する。

 国連のグテーレス事務総長は、国際科学パネル創設への全面的な支持を表明している。サミット前日の21日には国連本部で演説し、グローバル・デジタル・コンパクトは世界で広がるデジタル格差解消への青写真になるとしたうえで、「AIに関する初の普遍的合意でなければならない」と述べた。(ニューヨーク=遠田寛生)

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