【ニューヨーク=佐藤璃子】国連安全保障理事会は27日、パレスチナ自治区ガザ情勢を巡るハイレベル会合を開いた。各国は即時停戦や人質の解放、決議の履行を改めて訴えた。イスラエルのダノン国連大使が演説している間にパレスチナのムスタファ首相や中東諸国の外交官らが途中退席する場面もあった。
安保理の非常任理事国のアルジェリアが、会合開催を要請した。国連総会の一般討論演説期間に合わせて開かれたため、理事国に加えてパレスチナやヨルダン、イランなどからも首相や外相が参加した。
国連のグテレス事務総長は会合の冒頭で「ガザが暴力の震源地であり、ガザこそがその終結の鍵を握っている」と述べた。イスラエルとレバノンの親イラン民兵組織ヒズボラの緊張が高まっていることについても懸念を示した。
パレスチナのムスタファ氏は「安保理はいつになればイスラエルに国際平和と安全を維持するよう強制することができるのだろうか。どんな国籍や宗教、背景であれ市民を傷つけることを正当化する理由はない」と訴えた。パレスチナの国家承認や国連加盟の支持に加え、18日に採択された、イスラエルに対してパレスチナの不法な占領政策を1年以内に終わらせるよう求める総会決議の順守なども呼びかけた。
イスラエルのダノン氏は「イスラエルはテロのまん延を傍観するつもりはない」とイスラム組織ハマスを批判。「国際社会が行動する力を見いだせるかどうかにかかわらずイスラエルは決して揺るがず、必ず勝利する」と反論した。
ダノン氏の演説中、パレスチナのムスタファ氏や中東諸国の外交官複数人が席を立ち、会場から出て行く場面もあった。パレスチナのバーミヤ次席大使は自身のX(旧ツイッター)で「ガザでの大虐殺やヨルダン川西岸での民族浄化、レバノンでの爆撃を正当化するイスラエルの噓に拒否反応を示し、パレスチナは初めて安保理の席を空けた。パレスチナは空席であっても存在し続ける」と投稿した。
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