【天津=共同】金杉憲治・駐中国大使は11日、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席の側近で天津市トップの陳敏爾・市共産党委員会書記と同市で会談した。両氏は日中両国間の人的交流拡大を推進させる考えで一致。陳氏は天津に日本企業が多数進出している現状を踏まえ「良いビジネス環境を提供するため努力したい」と意欲を表明した。同行筋が明らかにした。
日中関係は昨年8月の東京電力福島第1原発処理水の海洋放出を巡り悪化した。金杉氏は地方幹部との意思疎通を通じて、関係安定化につなげたい考えだ。
会談で金杉氏は人的交流拡大に向け、日本人の短期滞在のビザ免除を含む訪中手続きの簡素化を中国政府に働きかけるよう要請。中国で相次ぐスパイ容疑での邦人拘束に懸念を表明した。邦人の安全と日本企業支援に対する陳氏の配慮に謝意を伝えた。
陳氏は「中国と日本の協力は両国のみならず、アジアや世界の平和と繁栄につながる」と強調した。陳氏は習氏が浙江省トップの省党委書記だった時期に宣伝部長として支え、習氏と関係が近いことで知られる。貴州省や重慶市のトップを歴任し、2017年に党政治局員に昇格。22年に天津市トップに就いた。
金杉氏は会談後、記者団に「物事が動いていくことが大切だ」と語り、今後も地方幹部との面会を重ねて日中間の課題解決に取り組む姿勢を示した。
金杉氏は10日、天津市を訪問し、同市に工場があるトヨタ自動車などを視察した。
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