【ソウル=上野実輝彦】ソウル西部地裁は30日、ソウルの繁華街・梨泰院(イテウォン)で2022年10月に発生した雑踏事故で、安全対策を怠ったとして業務上過失致死傷などの罪に問われた当時の地元警察署長に禁錮3年(求刑懲役7年)の実刑判決を言い渡した。現場対応を指揮した責任者に業務上の過失が認められたのは初めて。

ソウル・梨泰院で、雑踏事故の現場近くで献花する人々=2022年11月

 判決では、地元の竜山(ヨンサン)署長だった李林宰(イイムジェ)被告について「速やかに事故状況を把握する努力を怠り、講じた措置も遅きに失した」と指摘。「被告人らが注意義務を果たしていれば予防できた人災で、遺族らも厳罰を望んでいる」とした。  保身目的の虚偽報告書作成や、国会での偽証については無罪と判断した。  竜山署で緊急通報を担当していた署員2人にも、業務上過失致死傷罪でそれぞれ禁錮2年(同禁錮5年)と、禁錮1年、執行猶予2年(同禁錮2年6月)を言い渡した。

◆地元区長は無罪「注意義務あるとみるのは難しい」

 事故が発生した竜山区の区長で、業務上過失致死傷などの罪に問われた朴熙英(パクヒヨン)被告に対する判決公判も同日あり、ソウル西部地裁は無罪(同懲役7年)を言い渡した。「人波の管理や統制に関する直接的、具体的な業務上の注意義務が行政区にあるとみるのは難しい」と指摘した。  事故は、新型コロナウイルス禍明けのハロウィーンを前に集まった若者らが、狭い路地に多数倒れ込んで発生。日本人2人を含む159人が犠牲になった。警備の不備や警察の対応の遅れなどが問題視されていた。 

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