イランへの対抗措置“深刻で重大なものになる”イスラエル報道

イランによるミサイル攻撃へのイスラエル軍の対抗措置について、イスラエルの複数のメディアは軍の話として、「深刻で重大なものになる」などと伝え、緊迫した状況が続いています。

イスラエル軍はパレスチナのガザ地区でも連日、攻撃を行っていて、イスラム組織ハマスとの戦闘が始まってから今月7日で1年となりますが、犠牲者は増え続けています。

レバノンのイスラム教シーア派組織、ヒズボラの最高指導者の殺害などへの報復として、イランが今月1日、イスラエルに大規模なミサイル攻撃を行ったことを受け、イスラエルは対抗措置をとる構えです。

これについてイスラエルの複数のメディアは5日、軍の話として対抗措置に向けて軍が準備を進めているとしたうえで「深刻で重大なものになる」などと伝えました。

また、イスラエルの別のメディアは5日、アメリカ中央軍の司令官がイスラエルを訪れ、対抗措置について調整するとみられると報じています。

イスラエルがどのような対抗措置に出るかが焦点になっていて、緊迫した状況が続いています。

エルサレムで人質の解放を求める集会

イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が始まって1年となるのを前に、エルサレムでは、いまもハマスに捕らえられている人質の解放を求める集会が開かれました。

集まった人たちはイスラエル政府に対し、ハマスに譲歩してでも停戦を実現し、人質の解放を目指すべきだと訴えました。

去年10月にガザ地区を実効支配するハマスがイスラエル側に大規模な奇襲攻撃を仕掛けてから7日で1年となります。

ガザ地区ではいまも101人が人質として捕らえられていますが、停戦と人質解放に向けた協議は、イスラエル軍がガザ地区の戦略的要衝に駐留を続けるかどうかなどをめぐって双方の立場の隔たりが大きく、進展の見通しはたっていません。

こうしたなかエルサレムでは5日、ハマスに対して譲歩してでも停戦を実現し、人質の解放を目指すべきだとイスラエル政府に訴える集会が開かれました。

集まった数百人の参加者たちは市内を行進したあと、中心部の広場で「いますぐ人質の解放を」などと声をあげていました。

参加していた男性は「人質たちはガザ地区で死にかけている。彼らに残された時間はない」と述べて、いますぐ停戦が必要だと訴えていました。

また参加していた女性は「ネタニヤフ首相は人質解放のためにできることをしておらず、首相に対する強い批判の気持ちがある」と話していました。

ロンドンで停戦を求めるデモ

パレスチナのガザ地区で戦闘が始まってからまもなく1年となるのを前に、イギリスの首都ロンドンでは、パレスチナを支持する人たちが大規模なデモを行い、一刻も早い停戦を求めました。

このデモは、イスラエル軍とイスラム組織ハマスの戦闘が始まってから今月7日で1年となるのを前に、パレスチナの人たちの人権擁護のために活動しているイギリスの団体の呼びかけで行われました。

ロンドン中心部には5日、多くの参加者が通りを埋め尽くし、「ガザの虐殺を止めろ」とか「パレスチナに自由を」と書かれたプラカードを掲げたり、「ただちに停戦を」などと声をあげたりしながら市内を行進しました。

また、イスラエル軍が連日、空爆を続けるレバノンでも犠牲者が増え続けていることから、レバノンでの戦闘の休止を求める人たちもいました。

イギリス中部から参加した女性は「レバノンでも事態が悪化し、大混乱となっている。私たちの政府が見て見ぬふりをしていることに対し、不満をもっていることを示すためデモに参加した」と話していました。

デモを呼びかけた団体は、イギリス政府に対しイスラエルへの軍事支援の全面停止などを求めていて、団体の代表は「200万人ものパレスチナの人が避難を余儀なくされ、レバノンからもほかの国への避難者が発生している。これは人道危機であり政治的な危機だ。止めなければならない」と話していました。

デモには、ナチスによるユダヤ人の大量虐殺=ホロコーストを生き延びたというユダヤ人やその家族なども参加しました。

このうち、子どものときにハンガリーにいてホロコーストを生き延びたという87歳の男性は、「ガザでの虐殺を止めて」と書かれたプラカードを掲げながら参加しました。

男性は「パレスチナの人々の苦しみに連帯を示し、ユダヤ人のすべてがイスラエルによる虐殺を支持しているわけではないことを世界に対して証明したい。レバノンでも無差別攻撃が始まっているのを見るのはつらい。無実の人々を殺すことは戦争犯罪だと思う」と話し、戦闘の休止が必要だと訴えていました。

都内でキャンドルをともして停戦を願う催し

去年10月7日、パレスチナのガザ地区でイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が始まって1年となるのを前に、都内でキャンドルをともして停戦を願う催しが開かれました。

この催しは、ガザ地区での支援活動にあたっている国内の6つのNGOが東京・港区の寺を会場に開きました。

各団体が子どもの栄養状況の改善や心のケアなどの活動について報告したあと、来日中のガザ地区出身の医師、イゼルディン・アブエライシュ氏が講演しました。

アブエライシュ氏は2009年にガザ地区に侵攻したイスラエル軍に自宅を攻撃されて3人の娘とめいを失い、人権活動家としても活動していて「ガザの人々は日常的に殺害、破壊、強制移住、飢餓に直面していて、世界はそれを傍観しています。傍観するのではなく、戦争を止めるための行動が必要です」と一刻も早い停戦を訴えました。

このあと、参加者たちはキャンドル型のLEDライトを並べて作った「GAZA」という文字のまわりに集まって黙とうをささげ、亡くなった人を追悼するとともに停戦を願いました。

20年ほど前にガザ地区を訪れたことがあるという60代の女性は「支援金を送るぐらいのことしかできませんが、ガザのためにできることをやっていくしかないと思っています」と話していました。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。