【バトラー=鈴木龍司、ワシントン=浅井俊典】アメリカ大統領選の投開票日まで1カ月となった5日、共和党候補のトランプ前大統領(78)は7月に自身が銃撃を受けた東部ペンシルベニア州バトラーで再び集会を開き「米国を再び偉大な国にする」と決意を述べた。民主党候補のハリス副大統領(59)はハリケーン被害を受けた南部ノースカロライナ州を訪れ、被災者への継続支援を約束した。  大統領選は大接戦のまま最終盤に突入。ハリス、トランプ両氏とも、両州など勝敗を左右する激戦州を重点的に遊説し、支持基盤を固めつつ、政党支持なし層の掘り起こしに力を注いでいる。

アメリカ大統領選で競うトランプ氏(左)とハリス氏(右)

◆暗殺未遂の現場で「ファイト」連呼

 暗殺未遂事件で一命を取り留めた因縁の地に立ったトランプ氏は、防弾ガラス越しに演説し「死に直面しても屈しない。われわれはこれまで以上に団結し、勝利に近づいている」と支持者を鼓舞。銃撃で負傷した直後に発した「ファイト(戦え)」というフレーズを再び呼びかけると、総立ちの聴衆は連呼して応じた。  集会には電気自動車(EV)大手「テスラ」などを率いる実業家のイーロン・マスク氏も登場。「米国の憲法と民主主義を守るために、トランプ氏の勝利が必要だ」と訴えた。  会場には演説の10時間以上前から熱狂的な支持者による長蛇の列ができ、数万人が詰めかけた。7月の銃撃事件を会場最前列で目撃した建設業のピーター・アームストロングさん(22)は「再び演説に立つには勇気がいる。彼なら経済も立て直してくれる」と期待した。

◆被災者を激励、救援物資を箱詰め

 一方、ハリス氏は9月に南東部を直撃したハリケーン「へリーン」の被害状況を調査するためにノースカロライナを訪れ、対応に当たる州や地方の当局者を激励。「被災者を助けるための人的・物的資源の投入を惜しまない」と強調した。  トランプ氏は現政権の災害対応を「ひどい」と攻撃している。ハリス氏は2日に南部ジョージア州の被災地を訪問したばかりで、5日は救援物資の箱詰めも手伝い、ボランティアに「私たちは長きにわたってここにいる」と約束。有権者らの懸念払拭に努めた。 

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