◆韓国側分析「金正恩政権の不安感から始まった窮余の策」
総参謀部は、米韓の軍事演習により「南の国境一帯で一触即発の戦争危機が高まっている」と主張し、「わが国の主権行使領域と、韓国の領土を徹底的に分離するための実質的な軍事的措置を取る」と宣言。偶発的な衝突を避けるため、9日午前に米軍側(在韓国連軍司令部)に通知文を送ったと明らかにした。北朝鮮と韓国の軍事境界線に位置する板門店(資料写真)
正恩氏は昨年末の党中央委員会拡大総会で、南北を「敵対的な2国家」と規定し、平和統一を目指す路線を放棄すると表明。北朝鮮は4月ごろから南北軍事境界線北側の非武装地帯(DMZ)で防壁や鉄条網の設置を進めてきた。総参謀部の発表は、この延長線上にあるとみられる。 北朝鮮メディアの8日の報道によれば、正恩氏は7日に国防総合大学を訪問した際の演説で「以前は南(韓国)の解放や武力統一という言葉もあったが、今は全く関心がない」などと述べ、改めて「2国家論」を繰り返していた。 韓国軍は9日、総参謀部の主張を「一顧の価値もない。失敗した金正恩政権の不安感から始まった窮余の策にすぎず、今後さらに厳しい孤立を招くことになる」と批判した。 ◇ ◇◆北朝鮮の改憲の内容は? 専門家の見方は分かれている
【ソウル=木下大資】北朝鮮メディアは9日、国会に相当する最高人民会議が7、8両日に開かれ、憲法の修正案が採択されたと伝えた。韓国を「敵国」として憲法に明記するなど規定の見直しが実行されたかは不明。韓国の専門家の間では「全面的な改憲は延期された可能性がある」「領土条項を新設したが、公開しなかった」と見方が分かれている。 朝鮮中央通信によると、正恩氏は会議に出席しなかった。崔竜海(チェリョンヘ)最高人民会議常任委員長が改憲内容を報告し、義務教育制度の変更に伴う選挙年齢などの修正を反映したと説明した。 韓国を敵国と見なす正恩氏の方針に沿い、今回の最高人民会議では憲法から南北統一に関連した表現を削除したり、領土や国境に関する条項を新設したりするとの観測が出ていた。 北朝鮮の憲法はたびたび改正されてきた。韓国・統一研究院の洪珉(ホンミン)先任研究委員は「大幅な改正の際は住民向けに労働新聞(党機関紙)で詳報してきた」と指摘。正恩氏の主張を憲法に反映すれば内外に及ぼす政治的な影響が大きいため、米大統領選などの情勢を見ながら改憲のタイミングを調整する可能性があるとみる。 鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。