ウォール街のニューヨーク証券取引所=ロイター

【ニューヨーク=佐藤璃子】ニューヨーク市内の証券業界で働く従業員の2023年の平均給与は47万1370ドル(約7000万円)と前年比で5.2%減ったことが9日分かった。2年連続の減少となる。高金利下でM&A(合併・買収)や新規株式公開(IPO)などの金融取引が減った影響とみられる。

米ニューヨーク州の会計監査官が9日、ニューヨーク市の証券業界の事業実績をまとめた。給与減に影響したのがボーナス(賞与)で、平均支給額が17万6500ドルと前年比2%、過去最高を記録した21年比で27%減少した。

会計監査官のトーマス・ディナポリ氏は「新型コロナウイルス流行直後の記録的な水準を経て、ウォール街の利益はコロナ前の水準に戻りつつある」と指摘した。証券業の平均給与は2年連続の減少となったものの、市内の他の業種平均と比べると約5倍高いという。

足元では利益の改善傾向があるという。ニューヨーク証券取引所(NYSE)の会員企業の税引き前利益は24年上半期に232億ドルと、前年同期比で約80%増加した。年末まで現在のペースが続けば通年の利益は471億ドルとなり、ボーナスも増える見込みだ。

ディナポリ氏は「24年はいまのところ非常に好調で、残り数カ月も利益の上昇を維持していくだろう」と指摘する。

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