タイ・バンコクの喧騒(イメージ写真)

 【バンコク=藤川大樹】タイ中央銀行の次期理事長の選出が延期された。中銀への影響力強化を狙う政府が「政治的干渉」を画策しているとの批判が高まったためだ。政府は景気を下支えするため政策金利の引き下げを要請してきたが、インフレを警戒する中銀は抵抗し、対立が続いている。  財務次官や商務次官などの要職経験者7人で構成される選出委員会が8日に開かれたが「候補者の資質を精査するため、さらなる情報が必要だ」との理由で決定を先送りした。次回会合の日程は未定だという。  地元メディアなどによると、任期を終えたポラメティー中銀理事長の後任として、政府はセター前首相の顧問で、中銀の金融政策に批判的なキティラット元副首相兼財務相を推しているとされる。理事長は金融政策を決定する権限はないものの、中銀総裁の業務を評価し、金融政策委員会の人事に関与できる。  これに対し、タイ中銀のターリサー元総裁は「政府が支持する候補者が選ばれたら、政治的干渉に道を開き、深刻な経済的影響を及ぼす」と警告。独立性を欠く機関は長期的な経済安定を維持できないと表明するなど、波紋が広がっている。  一方、政府側は干渉を否定。チュラパン財務副大臣は「プロセスは法律に従って処理される」と述べた。 

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