◆「韓国の広島」でも祝福ムード
「日本メディアも受賞を予想していなかった」。朝鮮日報(電子版)はこう速報し、驚きのニュースとともに、被爆者らへの補償や核兵器廃絶に取り組んできた被団協の活動を伝えた。 被爆者が多く住み「韓国の広島」と呼ばれる韓国南東部・陜川(ハプチョン)在住で、韓国原爆被害者協会の鄭源述(チョンウォンスル)会長(80)は東京新聞の取材に「韓国人被爆者としても心から祝福する。核兵器の廃絶は、被爆者共通の願いだ」と語った。ノーベル平和賞に受賞が決まり、取材に応じる日本被団協の工藤雅子さん(左)=東京都港区で(坂本亜由理撮影)
自身も幼いころ、広島で両親とともに被爆し韓国に戻った。韓国の原爆被害者は1990年代まで存在を知る人も少なく、日本政府からの補償がない上、現在は高齢化も進む。鄭さんは「経済的な問題が解決できれば、日本の被爆者たちとも改めて話をしたい。ノーベル賞を契機に、私たちの存在にも目を向けてもらいたい」と話した。 米メディアも、被団協のノーベル平和賞受賞を相次いで速報した。 CNNテレビは「被団協の核なき世界の実現に向けた取り組みが評価された」と報道。米国が広島と長崎に投下した原子爆弾で生存者の多くが放射線による原爆症で苦しんできたことを説明し、「世界から核兵器をなくすために人生をささげてきた」と紹介した。ニューヨーク・タイムズ紙は「被爆者は原爆の恐怖を体験した証人であり、証言を通じて核兵器が人類に及ぼす影響への認識を高めた」と報じた。 一方、中国では海外メディアが交流サイト(SNS)「微博」(ウェイボ)などで受賞決定を速報したが、国営メディアによる速報はなかった。自然科学分野や文学賞の受賞決定は報道していたものの、今回は黙殺しているとみられる。 鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。