ガザ地区では衛生環境の悪化からポリオの感染拡大が懸念されていて、WHO=世界保健機関は14日から、中部で2回目のワクチン接種を始めたと発表しました。
対象は10歳未満のおよそ59万人で、25日にかけて中部、南部、北部の順に接種を行い、接種の時間帯は戦闘を停止することでイスラエル軍とイスラム組織ハマスが同意しているとしています。
しかし13日夜、中部ヌセイラトで、翌日の接種会場に指定されていた学校がイスラエル軍の空爆を受け、ガザ地区の地元当局によりますと学校に身を寄せていた多くの子どもを含む22人が死亡したほか、80人がけがをし、接種が中止されました。
UNRWA=国連パレスチナ難民救済事業機関は「この重要なワクチンをできるだけ多くの子どもに届けるため、すべての関係者は人道的な一時停戦を尊重しなければならない」と呼びかけています。
一方、中東の衛星テレビ局アルジャジーラは、イスラエル軍が地上作戦を再開した北部ジャバリアで14日、食料の配給所が砲撃され、並んでいた子どもを含む10人が死亡したと伝えるなど、ガザ地区では戦闘の開始から1年が過ぎた今も犠牲者が増え続けています。
1歳児も死亡 おば「人生の何も見ないまま死んでしまった」
空爆を受けたヌセイラトの学校では、1歳1か月だったヤマンくんと母親が犠牲になりました。
ヤマンくんの親族はその死をまだ受け入れられない様子で、白い布に包まれた小さななきがらに顔をうずめて泣き崩れたり、そのほおをなでながら話しかけたりしていました。
ヤマンくんのおばは「彼はただ学校の中で座っていただけです。学校で生まれ、人生の何も見ないまま学校で死んでしまった。言われたとおり学校に避難したのに、子どもたちをいったいどこに隠せばいいのでしょうか」と、ヤマンくんの死を嘆き悲しんでいました。
ヤマンくんの祖父は「あまりにも多くの人が亡くなり、ガザにはもう誰も残っていない。みんなが恐怖とともに眠り、恐怖とともに目覚めている。世界はいったいどこにいるのか」と国際社会に即時停戦の実現を働きかけるよう訴えていました。
NY証券取引所前 ユダヤ系平和団体が抗議デモ
ガザ地区でイスラエル軍の攻勢が続くなか、ニューヨーク証券取引所の前には14日、およそ500人のユダヤ系の平和団体のメンバーが集まり、アメリカからイスラエルへの武器輸出を止めるよう求める抗議デモを行いました。
参加者は「戦争で利益を上げるな」などと声を上げ、座り込みをしていたメンバーが警察に排除されるなど一時騒然となりましたが、取り引きなどへの影響はありませんでした。
主催者の1人は「アメリカには株価が急騰している兵器メーカーがある。彼らは大量破壊によって利益を得ている。こんなことはもうたくさんだ」と話していました。
またユダヤ系のアメリカ人がこの抗議活動に参加している理由については「ユダヤ人としてホロコーストを繰り返さないという言葉は、誰に対しても繰り返してはならないことだと学んだ。いま起きていることを全力で止めなければならない」と話していました。
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