【ワシントン=芦塚智子】米国のバイデン政権は21日、民間医療保険の加入者が市販の避妊薬や避妊具を無料で入手できるようにする新規則案を発表した。民主党の大統領候補であるハリス副大統領は、避妊や人工妊娠中絶を含む「生殖の権利」擁護を前面に打ち出している。新規則案は11月5日の大統領選を前にハリス氏の政策を売り込む狙いがある。
新規則案は医療保険制度改革法(オバマケア)の一環。保険会社に対し、食品医薬品局(FDA)が2023年に承認した処方箋なしで買える経口避妊薬「ノルゲストレル(製品名オピル)」や緊急避妊薬、コンドームなどを全額保険で賄い、加入者の負担をゼロにするよう義務付ける。また加入者にこうした支援の情報を提供することも求める。
オバマケアが現在、大半の保険に加入者の負担なしの適用を義務付けているのは医師の処方箋が必要な避妊薬だけだ。ホワイトハウスによると、新規則によって約5200万人の女性が恩恵を受けるという。
新規則の施行は官報掲載から60日後のため、大統領選の後になる。共和党のトランプ前大統領が大統領選で勝利し返り咲けば覆される可能性もある。
バイデン大統領は声明で、共和党が避妊の禁止や規制を望んでいると主張し「容認できない」と批判した。「ハリス副大統領と私は質の高い、手が届く避妊へのアクセスを拡大する公約を断固として守る」と強調した。
ハリス氏も、新規則は過去10年以上みても最大の避妊への保険適用拡大だと指摘し「過激派のいわゆる指導者たちは、事あるごとに生殖の自由を攻撃している」と共和党を非難した。
トランプ氏は避妊の規制は支持しないと表明している。中絶に関しても規制は各州が決めるべきだとして全米一律の禁止は支持しない立場を表明し、中道路線にかじを切っている。
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